1979年の初演以来、435回もの公演が行われた『上海バンスキング』(斎藤憐作/串田和美演出・出演・美術)。封印から16年の時を経た2010年、シアターコクーンでの再演を初めて観た写真家・明緒は、その内容に衝撃を受け、日本のジャズや演劇(小劇場)の黎明期、安保闘争、演出家と劇作家、役者たちの出会いを当時の証言を元に紐解き始める。本書は串田和美の妻でもある明緒が“遅れてやってきた観客”として、独自の視点で『上海バンスキング』の生まれた経緯、当時の様子を写真と文章で綴った『上海バンスキング』クロニクルである。